民法の全体像「特定物と不特定物」
ここは、民法の全体像「特定物と不特定物」を講義している教室です。
今回は,前回,物の分類の仕方の1つに,不動産と動産というのがあることをお話しましたので,そのついでと言っては何ですが,物の分類の仕方を,もう1つお話しますね。
例えば,次の2つのデジタルカメラについて,大きく異なる点は何でしょうか?考えてみてください。
(a)Aさんが持っているデジカメ
(b)クマベックというメーカーが製造している,型番kuma01aというデジカメ
いろいろ考えてみられましたか?
もちろん,様々な違いはありますが,ここでは,次の点に注目したいと思います。
まず,(a)の,Aさんが持っているデジカメですが,このデジカメが突然燃えてなくなってしまったらどうなるでしょう?
もちろん,Aさんが持っているデジカメはなくなりますよね。
「Aさんが持っていたデジカメ」は,世界でたった1つの物で,他に代わりがありませんから。
なに当たり前のことを言ってるんだって感じですよね。
「実は,Aさんは全く同じデジカメを100個持ってました!」なんて場合は別ですけど。。。
つまり,(a)のデジカメは,単なるデジカメではなくて,「Aさんが持っている」デジカメ,というように,そのデジカメの個性(?!)に注目しているということなんです。
例えば,そのAさんが持っていたデジカメさんは,「私は,他のデジカメと違うのよ。Aさんに,2年間大切に使ってもらったデジカメなの(*^^*)」
と,きっと思っていることでしょう。たぶん・・・
このように,物が持っている個性に注目した物を,特定物といいます。
そして,この特定物は,世界のどこにも他に代わりがないのが普通です。
それに対して(b)のデジカメは,もうお分かりですよね。
そのデジカメの種類は型番で特定できますが,特定しているのは種類だけであって,その型番のデジカメは大量生産されているので,たくさん代わりがありますよね。
もし(b)のデジカメが燃えてなくなったら、倉庫から同じ物を出してくることができますよね。
このように,物の種類に注目して,個性には注目していない物を,不特定物といいます。
だから,(a)のデジカメは特定物,(b)のデジカメは不特定物と考えるんです。
この分類の仕方は,後々学ぶ債権の種類などの場面で出てきますので,今のうちに理解をしておきましょう。
【図表1:特定物・不特定物】
(終わり)
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