民法の全体像「移転型契約」
ここは、民法の全体像「移転型契約」を講義している教室です。
今回は,財産権が移動するタイプの契約である贈与契約,売買契約,交換契約についてお話しますね。
1.贈与契約
贈与契約は,その名の通り,自分の持っている物をタダで誰かにあげる契約のことです。
民法では,次のように定められています。
549条
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
例えば,Aさんが自分のデジカメをBさんに
「このデジカメ,タダであげる」
という意思表示をし,Bさんが
「そのデジカメ,ありがたく頂くね」
という意思表示をすると,贈与契約が成立します。
【図表1:贈与契約】
「無償で」あげるのが,贈与契約のポイントですね。
2.売買契約
売買契約は,以前にもお話しましたとおり,契約当事者の一方が物を渡し,もう一方がお金を支払うという内容の契約のことですね。
民法では,次のように定められているのでした。
555条
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。【図表2:売買契約】
贈与契約との違いは,BさんからAさんに,お金が移動している点ですね。
3.交換契約
交換契約は,その名の通り,物々交換をする契約のことです。
例えば,Aさんが
「私の持っているデジカメと,Bさんが持っている一眼レフカメラを交換しよう」
とBさんに働きかけ,それに対してBさんが
「うん,いいよ。交換しよう」
と承諾することで,交換契約が成立します。
民法では,次のように定められています。
586条
交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。ポイントは,「金銭以外」ですね。金銭がからむと,それは売買になりますから。
【図表3:交換契約】
以上が,財産権が移転するパターンの契約でした。
(終わり)
→次の民法の全体像「利用型契約」に進む
←前の民法の全体像「契約の類型」に戻る
☆入門講義「民法」の目次に戻る
☆入門講義の目次に戻る