憲法「参政権」
ここは、憲法「参政権」を講義している教室です。
参政権とは、文字通り政治に参加する権利で、現代ののように議会制民主主義が採られている場合は、議会の議員を選んだり、自ら立候補したりする権利が主なものになりますね。
それでは、参政権の中心である選挙権について見ていきましょう。
選挙権については、15条1項に定められています。次の条文を見てください。
第15条第1項
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
この条文に出てくる公務員とは、広く国や地方公共団体の事務にたずさわる人のことを指していると考えられています。
その公務員を選んだり、罷免つまり辞めさせたりするのは、国民の権利であることが定められています。
しかし、この条文は、すべての公務員を、国民が直接選んだりやめさせたりするということを言っているのではありません。
公務員の選定・罷免は,主権者たる国民の意思に基づくようにしましょうねって言っているのです。
あと、一般知識で学ばれるかも知れませんが、公正な選挙が行われるための、選挙の基本原則について見ておきましょう。
その基本原則とは、
・普通選挙
・平等選挙
・自由選挙
・秘密選挙
・直接選挙
の5つです。
このうち、特に重要な普通選挙と平等選挙について説明しますね。
(1)普通選挙
普通選挙とは、財力、教育、性別などで選挙権のあるなしを決めない選挙制度のことで、
反対に、例えば税金を年間300万円以上支払っている人だけ選挙権がある、とするような制度を制限選挙といいます。
日本国憲法では15条3項に書かれています。
第15条第3項
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。また、44条では、選挙権だけでなく、被選挙権についても、財力などを条件としないことを定めています。
第44条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。ちなみに、被選挙権とは、選挙されうる資格のことなんですが、難しいので、まずは立候補する権利と理解しておけば良いと思います。
(2)平等選挙
さっきの普通選挙と、この平等選挙は、混乱しがちですが、
普通選挙は、「ある条件を満たさないと選挙権がない」としてはいけないという原則のことで、
平等選挙とは、選挙権があることを前提にして、その選挙権に格差を設けてはいけませんよ、という原則です。
だから、例えば、年間、税金を100万円以下を納めている人は1票を投票でき、100万円から300万円の人は2票を投票でき・・・
というような選挙制度は、平等選挙に反する、不平等選挙だ、ということになります。
では,普通選挙と平等選挙を図表1にまとめておきますね。
【図表1:普通選挙と平等選挙】
この普通選挙と平等選挙については、しっかりと理解しておいてくださいね。
(終わり)
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