民法の全体像「親等」
ここは、民法の全体像「親等」を講義している教室です。
今回は、親等の数え方についてお話しますね。
親等とは、親族間の世代数のことで、1親等とか、2親等というように、数字をつけて表します。
そして、この数字が大きくなるほど、世代(血縁関係)が離れているということ表すんですね。
例えば、母は1親等、ひぃおばあさんは3親等なので、母よりもひぃおばあさんの方が世代(血縁関係)が離れていることが表されているんですね。
で、その親等数の数え方ですが、家計図をすごろくに見立てて、さいころを振ってコマを動かすようにして数えるんです。
まずは、下の図表1を見てください。
【図表1:親等の数え方】
まず、「本人=配偶者」のマスにコマを置きます。
本人と配偶者とは、親等がありません。これを仮に0親等としておきましょう。自分と婚姻したパートナーとは0親等ということですね。
次に、父母のマスにコマを進めたいのですが、さいころの目は何が出ると良いでしょう?
・・・・・・・・・・
そう、1ですね。さいころの目が1なら、父母のマスにコマを進めることができますね。
このとき、さいころの出た目の数が、親等を表します。
ですので、本人から見て、父母は1親等であることが分かるんですね。
ちなみに、父母のマスが2つありますが、左が血族、右が姻族ですね。
図では、赤い数字が血族、青い数字が姻族を表しています。
つまり、本人から見て、本人の父母は1親等の血族で、配偶者(婚姻した相手)の父母は1親等の姻族ということですね。
では、祖父母の場合は?
そう、さいころの目が2が出ればそこにコマを進めることができるので、2親等です。
このようにして、親等を決めていきます。
ということは、子は1親等、孫は2親等ですね。
この親等の数え方のルールには、注意点が2つあります。
その1つは、さっきも言いましたように、配偶者同士では親等がありません。
例えば、子のマスを見てください。
本人から見て、子は1親等ですね。
だから、子の配偶者も1親等です。
ただ、婚姻により親族になる関係ですから、1親等の姻族ということですね。
そして、注意点の2つ目は、兄弟姉妹などの横の関係、これを傍系と言うんでしたね、この傍系のマスにコマを進めるには、いったん一番近い上のマスにコマを進めてから、下に降りなければなりません。
つまり、いきなり横に進むことが出来ないんですね。
【図表2:傍系の親等の数え方】
例えば、本人から、本人の兄弟姉妹のマスに進むためには、いったん父母のマスに進んでから、下に降りて兄弟姉妹のマスへとコマを進めるんです。
ということは、親等はどうなると思います?
親等は、すごろくのさいころの目と同じなのですから、親等は、父母のマスで1、そして下に降りて2、つまり、さいころの目が2が出れば、兄弟姉妹のマスに進めますね。
だから、兄弟姉妹は2親等なんですね。
では、おじ・おばの場合はどう進めますか?
・・・・・・・・・・
そう、父母のマス→祖父母のマス→おじおばのマスと、3マス進まなければなりませんね。
【図表3】
だから、3親等なんです。
これが、親等の数え方です。
ではここで、民法で定める親族の範囲をもう一度見てみましょう。
725条
次に掲げる者は、親族とする。一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
これで、この条文の意味が分かりますね。
血族は6親等まで、姻族は3親等まで、配偶者は血族でも姻族でもないので、配偶者も加える。
これが、民法で定める親族の範囲です。
(終わり)
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