民法の全体像「所有権」
ここは、民法の全体像「所有権」を講義している教室です。
今回からしばらくの間は、物権のお話を進めていきますね。
まずは、所有権からです。
さて、今までは,主に債権という権利について見てきました。
債権ってどんな権利か,憶えてらっしゃいますか?
そうです,「人」に「責」任を負わす「権」利,つまり人に何かを要求する権利のことをいうのでしたね。
それに対して,今回お話する所有権という権利は,物権のなかまの1つです。
物権とは,その名の通り,「物」に対する「権」利のことで,民法では10個の物権が定められていまして、そのうちの1つが所有権で,10個の物権の中で代表的なものです。
ではまず,物権の対象の「物」についてですが,民法では次のように定められています。
第85条
この法律において「物」とは、有体物をいう。ここで,有体物とは,固体・液体・気体のことをいうと考えられています。
まあ,世間一般でいう「物」の意味とほぼ同じですね。
ちなみに,法律家は,物を「者」と区別するために「ぶつ」と読む人が多いですが,別に「もの」と読んでも間違いではありません。
次に,所有権ですが,民法では次のように定められています。
206条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。このように,所有権とは,自分の所有物を,自由に使用したり,収益のために利用したり,処分したりできる権利のことをいいます。
例えば,Aさんは,自分が持っているデジタルカメラを,自由に使用できますし,他人に貸して貸し賃をとることもできますし,誰かに売ったりとか捨てたりとかすることができるんです。これが所有権という権利です。
【図表1:所有権】
(終わり)
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