法律入門講座「行政法【行政手続法(1)「全体像」】」ークマべえの生涯学習大学校ー

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行政法「行政手続法(1)『全体像』」

ここは、行政法「行政手続法(1)『全体像』」を講義している教室です。


1.試験科目としての行政手続法

公務員試験では,それほど比重が大きいとは言えませんが,行政書士試験では択一式でおよそ3問出題されていますので,比重が大きいです。
また,出題される内容は,条文の内容の理解を問うものがほとんどですから,法律の内容を大まかにつかんだら,しっかりと条文を読み込むことが大切です。
特に,行政書士試験を受験される方は,条文を常に持ち歩いて,何回も読み込んでおきましょう。


2.行政法の中での位置づけ

行政法は,大きく,行政組織法,行政作用法,行政救済法の3つに分類されますが,今から学ぶ行政手続法は,どこに位置するのかといいますと,実は,よく分からないんです。
行政手続法は,行政活動の事前手続きを定めている点で,事後手続きを定める救済法ではありませんし,かといって,行政手続法は,行政の活動そのものではなく,適正に活動するための手続きである点で,作用法でもありませんし。。。
まあ,この3つの分類には当てはまらない,独自の法分野と考えておいて良さそうです。


3.制定・改正のいきさつ

ここでは,行政手続法が制定されるまでの流れを,簡単に理解しておけば大丈夫です。
要は,一般知識の政治で学ぶべき行政改革の一環として,行政手続法の制定についても議論されていた,ということです。

(1)1964年の第1次臨時行政調査会(第1臨調[りんちょう])のとき,すでに試案として行政手続法草案が示されています。結構早くから議論されていたんですね。

(2)その後,第2臨調,第3次行革審で議論されています。

(3)そして,平成5年(1993年)11月12日に公布されました。

この平成5年の時点では,行政立法手続きについての規定はありませんでしたが,平成17年(2009年)6月29日に,意見公募手続等についての規定を盛り込む改正法が公布されました。

これらの内容は,一般知識の政治を学習しているときのついでにでも,また確認をしてみてくださいね。


4.行政手続法と事前手続き

以前,行政は権力という便利だけど危険でもあるものを持っているので,この権力を持つ行政を,法律でコントロールして,世間一般の人々の権利利益を守ろう,という考え方を学びましたが,何というか憶えていますか?
これを,法律による行政の原理というのでした。

さて,では,この法律による行政の原理さえあれば,一般の人々の権利利益は守られるでしょうか?
実は,これはなかなか怪しいものがありまして。。。

例えば,Aくんの家には,「おかあちゃんに反抗したら,晩ごはんぬきとする」というルールがあるとします。
このルール,一見すると,Aくんに不利な内容に思えますが,Aくんにしてみれば,おかあちゃんに反抗しなければ,晩ごはんにありつけるとも言えますよね。
だから,このルールは,晩ごはんを作ったり作らなかったりするという権力(?!)を持つおかあちゃんをコントロールしているわけです。

でもね,反抗って,どんなのをいうのでしょう?

「おかあちゃん,最近太った?」

これも反抗でしょうか(笑)

おかあちゃんの機嫌が良ければ,

「ふくよかになったと言って!」

と言われるくらいでしょうが,機嫌が悪ければ

「太ったやって?!おかあちゃんに反抗したな~!晩ごはん抜き!」

となってしまいますね。

このルールがAくんを守っているといっても,これじゃあ守られていないのと同じです。
「反抗」とはどういうのを指すのか,その解釈をどうするのかをちゃんと決めておいてくれないと困りますよね。

この例のように,法律(ルール)で権力(おかあちゃん)をコントロールするといっても,その法律(ルール)を,どう解釈して,どう適用するかの部分,言い換えると法律に基づいて活動する過程の部分がはっきりしないと,一般の人々の権利利益が守られるとは言えないのです。
さきほどのおかあちゃんのように,行政庁の機嫌で法律の解釈が変わったら,たまったもんじゃないですよね。

そこで,法律に基づいて行政を執行するまでの過程,つまり事前手続きについても,法律で定めようとする考え方が生まれます。

このようにしてできた法律が,行政手続法です。
つまり,行政活動の事前手続きについて定めた一般法行政手続法なのです。

次の図表1でイメージを確認してください。

【図表1:事前手続きのイメージ】

事前手続きのイメージ

ただし,行政手続法は,行政活動の事前手続きを定めた一般法だといっても,対象とされる行政活動の範囲は比較的狭いです。
では,その対象とされる内容について見てみましょう。


5.行政手続法の内容

(1)目的

新しい法律では,だいたい第1条に,その法律の目的が書かれていることが多いですが,この行政手続法も,第1条に目的が書かれています。次の第1条を見てください。

第1条第1項

この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に[]することを目的とする。

赤文字で書かれている,

・行政運営における公正の確保透明性の向上を図ること
・国民の権利利益の保護に資すること

の部分が目的です。

特に,「公正の確保」と「透明性の向上」というキーワードは要チェックですよ!


(2)規定内容

次に,行政手続法の規定内容についてです。

さっきも少し触れましたが,行政手続法は,行政活動全てをカバーしている訳ではありません。さきほどの第1条第1項の初めの方を見てください。

処分
行政指導
届出
命令等を定める手続き

に関して定める法律だということです。

処分については,さらに「申請に対する処分」と「不利益処分」に分けて規定されています。

まずは,次の図表2でイメージをつくって,大きく体系を頭に入れておいてくださいね。次回から,それらをもう少し詳しく見ていきます。

【図表2:行政手続法の全体像】

行政手続法の全体像

(終わり)

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