民法の全体像「不当利得」
ここは、民法の全体像「不当利得」を講義している教室です。
今回は、債権の発生原因の1つである不当利得についてお話しますね。
例えば、Aさんの持っているデジタルカメラを、Bさんは3000円で買い、先に3000円を支払ったけれど、なんらかの原因で売買契約が無かったことになったとします。
このとき、Aさんは、売買契約が無しになって、契約などの法律上の原因がないのに、3000円の利益を受けていますよね。
このように、法律上の原因がないのにもかかわらず受けている利益のことを、不当利得といいます。
そして、Bさんは、法律上の原因がないのに、3000円の損をしていますよね。
だから、不当利得を受けているAさんは、損をしているBさんに3000円を返す必要があるんです。だって、不公平ですもんね。
このとき、Bさん側から見ると、Aさんに「不当利得の3000円を返してくれ!」と請求できるということです。
これを、不当利得返還請求権といいます。
不当利得があると、不当利得返還請求権という債権が発生するんですね。
では、民法の条文を確認しておきましょう。
703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。なんとなく意味は分かると思います。
ただ、「その利益の存する限度において、これを返還」の部分が意味不明かも知れませんが、これは、返還にも2パターンがあり、そのうちの1つを示しているんですね。
まあ、その辺は学習が進んだら理解できるようになりますから、今は深追いしないでおきましょう。
【図表1:不当利得】
(終わり)
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