クマべえの生涯学習大学校

民法の全体像「事務管理」

ここは、民法の全体像「事務管理」を講義している教室です。

今回は、債権の発生原因の1つである事務管理についてお話しますね。


例えば、職場の同僚とか友だちとかと雑談していて

「最近運動不足でさあ、少し太っちゃって」

なんて話をしていたとします。

すると次の日、同僚や友だちが、

「お前のために、スポーツジムと契約してきてあげたで!月1万円やからな!」

なんてことになったらどうでしょう?

「いや、余計なおせっかいしないで」

と思いますよね。

スポーツジムと契約するかどうかは、自分が決めるって思いますよね。

この、自分のことは自分で決めていく、という考え方を、私的自治[してきじち]といいます。

私法では、この私的自治が大原則として採られているんですね。

言い換えると、余計なおせっかいを排除する、とも言えます。

私的自治の原則、なんて言われると、難しそうに思えますが、いたって当たり前のことなんです。

じゃあ、民法でも私的自治の原則が採られているから、おせっかいは一切認められないかというと、そうではありません。

例えば、台風が来てお隣さんの家の窓ガラスが割れてしまいました。

しかし、お隣さんは海外旅行中でしばらく帰ってきません。

このときに、親切でガラス屋さんに修理をお願いしておいてあげる。こんな例はどうでしょうか。

おせっかいではあるけれど、このような親切さえも排除するってなると、民法はなんて冷たい法律なんだって思いますよね。

でも、民法では、このようなおせっかいについて定めているんです。

次の条文を見てください。

697条

義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。

事務と言われると、なにかデスクワークをイメージしますが、もっと広い意味で使われていて、「おせっかい」と理解しておけば良いでしょう。

このように、義務もないのに、おせっかいをすることについて、民法では規定をおいているんですね。そしてその規定の中に、債権の発生などが書かれているんです。

また、ある程度学習が進んだら、条文だけでも一度目を通されたら良いと思います。

試験対策としては、重要度が低いので、深追いは禁物ですが。

【図表1:事務管理】

事務管理

(終わり)

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